闘病記

心筋梗塞になって入院してからの病院関連の記録日記。そんな闘ってません。

クリといつまでも

結婚前はどうだったかもう忘れてしまったけど結婚し家業を継いでたくさんのアルバイトをみているうちに好みの女性のタイプは「はたらきもの」「頭がいい」の2つになった。「できるバイト」の必須条件がこの2つだから。

そう、いつのまにか、好みの女性のタイプ=すぐれたアルバイトみたいな価値観になっていた。別にそれで不自由がなかったし。あ、もちろん奥さんは好みのタイプに該当してますよ。

それこそ、人生2回の入院の1回目、小2の盲腸の入院からして漠然と思っていたし、幾度となく身内の入院に病院にいき、2回目の今となると実感したね、ナース最強って。「白衣の天使」の異名は伊達じゃないね。給食センターのおばはんらはそうはいわれないわけだなと。

綾瀬はるか氏のかつてのCM。ドアを開けて移動するたびにころころと衣装が変わるように仕事がめまぐるしく変わるイメージがある。

Aというモノをとりにいってる最中にBという薬を用意したか たずねられ、それに答える間に、Cという患者に請われ服を着替えるのを手伝う。それでいて、最終的にすべての仕事を終わらせている。ただ、それは1本のナースコールや急患でちゃらになるという。

それぞれの仕事に熟知する必要がある。その優先順位を念頭において患者にも愛想よく接する。
なおかつ部活動の帰りのマクドナルドみたいにキャッキャとなんでもないように笑いと嬌声でこなしている。まったく最強だ。

集中治療室にいるとやることがないのでよく看護師さんの動きをみていた。
動けないベッドの上からの情報のみではあるのでなんともいえないけど、みんな微妙に「やり方」がちがうなあと思った。
それぞれのスタイルを確立されているというか。
たとえば、食事のダンドリひとつとってもうがい水の用意するタイミング、お茶の用意するタイミング、それぞれの順番とかいろいろと差があった。また、集中治療室はわりあいとスタッフが頻繁に入れ替わってるみたいので、その差異が観察しやすい。

バーバパパのおばけみたいに音もなくスーっと移動してるし、話すテンポも手の動きも早いわけじゃないのに気がつくとみんな終わってたり、いっこいっこの仕事を確認しては、脳内のtodoにチェックしてから次に進むひと。
無表情で思いつめたような表情を浮かべててだいじょうかしら?と思うけど別に普通に仕事してたり。
おれが気に入ってる看護師さんは、すごく小さな子で、朝にフォロアー全員に「おはよう」ツイートをつけてまわる感じ。
いつでもラウドネス江戸前の寿司職人のようにシャキシャキと仕事をすばやくこなしていく。
「元気な後輩」でありつつ、それにありがちの典型のひとつ「ドジっ子」ではない。まあ、おれの知る範囲ではね。
せっかち由来だけど、きびきびした動きは「あこがれ」を催すほどだ。この「労働」を楽しんでさらに余ったエネルギーを患者に還元するかのように放出している。

入院2日目からとくに制限なく食事をもらっていた。
よく病院食はマズイなんてことを聞くけど、まあ予想通りだよなと、とくに不平不満もなく、まあ、キャベツの和えものの異様なバリエーションの多さにびっくりしつつ美味しく食べさせてもらってます。
「食うことっきゃ楽しみはねえよ」
唐沢なをき氏のマンガでの不良老人のセリフだけど、ここは病院食はなワケで3食きちんともらってるひとも多いわけじゃない。なんとなれば絶食のヒトも多い。

たぶん、その「食」の代わりという面もあると思うのだけど、、、、

朝は7時30分に朝食。9時に夜勤のヒトと交代で昼の部の担当が代わり、あいさつがてらの検診がある。
そして10時くらいに「シモ洗いましょう」と看護師がカーテンをしめる。

オムツをとり、お湯をかけて液体ソープで陰部を洗ってくれる。そのあと熱いおしぼりで身体を拭いてくれる。

これが率直にいって気持ちいいわけなんですよ。陰部云々はさしおいても温かいおしぼりで背中を拭いてもらうのはとてもいい。
「人間扱い」されてるような気がする。
集中治療室がとくにそうでしたけど実験動物とはいいませんが、「仕事のタネ」みたいにベッドに転がってるような気にもなるから。
そりゃあ最初は恥ずかしかった。でも3日目くらいは楽しみになってる感じで。なるほど彼女らは天使だなと強く再認識しました。

前記のように看護師によってさまざまなやり方があります。また日替わりでたくさんのヒトに洗っていただきました。

おれのお気に入りのコはいろいろなことを話しかけて緊張をほぐしつつ明るく進行するんだけど、なにげにおれの余った包皮をクリっとむいて亀頭のミゾのところにスーっと指をすべらせてたね。
あれはちょっとショーゲキだった。
衛生面ってことでいうと恥垢をとるために必要だろうけど、だれもここまで鮮烈にしっかりとはやらなかったからなあ。一瞬求婚しようかと思ったくらい。

もちろん、それに反応してどうのこうのってことでもないし、そもそも尿道にはクダが差し込んであるし。

ほかにもやり方として、人妻らしい豊満な方は身体をくっつけるように洗ってましたし、やたらと尿の管まわりを念入りに洗う方もいたし、裏スジからすーって爪を甘くたてながら洗う方もいました。
いやもう当然のことながら下手な方もいましたけど、って「下手ってなんだよ!」ってことだしね。そもそもの目的は衛生面からのことだから。それに対してはバッチリですよ、ええ。

今は一般床になって、そういうのはなくなって、ああ、得難い体験だったんだなと思う。

なお、そのお気に入りの子に、尿のクダも抜いてもらったのでした。
「わたし(今ヒマだし)抜いたげよっか?」っていわれてドキっとした。もちろんお願いしたし、さらに求婚したくなったよ。どう考えても親のほうが年齢が近いだろうにな。バカみたいな話だけど、ありがたい話でした。

現在は一般床に移りました。すっかり放置されてます。自分がひなびた温泉街のショーウインドーにかざってある温泉饅頭のロウ細工になったような気分です。
そしてしみじみと思うわけです。看護師にモテるのは病状の重い患者なんだよなと。だから、放置されてるほうがいいわけです。
やっぱり、もう集中治療室の日々はイヤです。かまってもらえたとしても。
ただお気に入りのコのことも含めて懐かしさはすでにあるなと。