闘病記

心筋梗塞になって入院してからの病院関連の記録日記。そんな闘ってません。

手術集中治療室日記

6/5

入院36日目。

手術の日。

心筋梗塞で入院して検査をしてるうちに心臓内の弁が機能してなくてそこも治そう、あと、2カ所つまり気味のところもバイパスしちゃおうというのが手術の目的です。

もう、はじまる1週間ほど前からこれまでノホホンぶりがウソのように今日はこの検査、アソコいって、ナニやってみたいな騒ぎになってました。


当日、例によって、叔父叔母にきていただいて準備しておいた「しばらくつかわないだろうから要らないもの」と「すぐに使うことになるから集中治療室に持ってきて欲しいもの」を渡す。

そして、そこまでやったらすぐに眠くなるって筋肉注射をうってもらう。ベッドごと4階手術室。

注射が眠くならず、担当の麻酔科の先生と「注射しても眠くならないですねー」なんて話してたあたりが最後の記憶でした。

次の瞬間、集中治療室の天井らしきものが。そして身体中が全く動かない。看護師が話しかける。答えられない指先、声、身ぶり、どれも少しだけで「ボディランゲージ」として成立してない。

ノドが渇いていた。

いわれてみれば心筋梗塞の手術直後もそうだった。あのときは伝えることができたので氷とかもらえたが今回無理。


たまらない渇きに絶望しながら寝るしかないとあきらめる。この先砂漠を旅するのは絶対に止めようと思った。

手術痕が痛い痛いときかされていたけど強力な痛み止めが薬と点滴と注射で入ってたみたいで、むしろ後の方が痛い。これを書いてる今の方が痛い。

最初の集中治療室では腰の痛さがともかくガマンできなかったので、1番心配してたけど、ここの集中治療室は床ずれ防止の強力なマットレスを使用してたし、1日目からベッドを起こしてOKだったので、心配はなかった。

10時30分からはじまった手術は21時30分ほどまでかかったよう。親もガキも叔父叔母も一応術後のおれの顔をみていったみたいだが全く記憶にない。次の日は記憶にある。


6/6

この時点で、首から点滴、右手動脈に点滴、それがはずれるとエライことだから、プロのボーリング選手みたいなガードグローブ。尿をとる管、腹の3カ所から体液を出す管、足には血栓ができるのを防ぐストッキング、左手は血管をとったから包帯グルグルに酸素の量を計るクリップが指先に。

そしてメガネがないという。「すぐに使うから持ってきてくれって」袋にいれておいたのによ。

右手左手使えないので本が読めない。しかも、この集中治療室は広いんで自力ではとても本の入ってる戸棚に手が届かないし、そもそも、本を読む気になれないんですよね。痛いのと痛み止めで朦朧としているから。

となると、イキオイ前の壁にかかってるテレビなんだけど、これがみえない。

だから、寝るしかないんだけど、たくさん機械があるってことはそれだけメンテに看護士が関わることになるわけでね。なかなか思うように寝かせてももらえない。

だから、ボンヤリとした断片はアタマには入ってきてた。オウムでなにかあったとか、ノリピーがなんかやったとか。AKBの総選挙もやってたね。


その夜もとっぷりと更けるころにメガネを持って親とガキが登場。とりあえずメガネをかける。やっと世界がみえる。ただもう夜で暗い。

1日は終わった。


その日の昼から食事。重湯とスープと牛乳とリンゴジュース。ずっとノドが渇いていたものには天国のようなメニュー。

全部ストローでいただく。

夜は五分粥になるといったのを、夜も同じでとたのむ。夜はスープが味噌汁だった。


楽しみにしてた看護師による身体拭きはあったし、なんと美人さん(沖縄風美少女)がシモ担当だったんだけど、ほかに2人ベテランさんが傷口を担当でいっせいにドーンとお祭り騒ぎでソイヤソイヤとやられたので痛いほうが強くてよくわからなかったわ。残念。丁寧に洗ってもらった感覚はあったけどな。


ちなみにここの看護師らは精鋭ぞろいだわ。すばやくて正確で的確。まあ、そりゃあそうだわな。ミスを1番許してもらえないところだし、スピードも要求されるしな。まったくスキがないなあ。


隣がまたおかしな感じで、なかなか寝ないのでおれに眠剤処方ってことになり、早めに折れる。眠剤による眠りの世界へ折れ曲がっていく感じは好きになれない。


6/7

どうも1日の感覚がおかしいのは眠剤か、ほかに処方されてるものか。

五分粥の朝ご飯、通常の昼ご飯、夜も普通。

ちょいちょいみにくる担当医ともと担当医。たまにうつらうつらしてると黙って聴診器でおれの心音聞いて「いい音だ」という主治医。

で、あれ抜こうこれ抜こうと管が抜かれてはいく。すごいスピード。これまでの「なにやってんの?」ってのと真逆すぎて不安になる。


で、テレビながめてるかうつらうつらしてるか。


不思議なのが手術前、いやさ、入院前より体重が増えてること。


6/8

「さあここから出ましょう」だって。

昼過ぎに引っ越しです。前にいた階に逆戻り。ベッドで出て行って車椅子で戻るという。いろいろと「いいのか?」と思う感じのジェットコースター展開。

個室に入れられる。ユニットバスがついている。

もう、この時点で首の点滴とお腹の管だけ。薬は大量に飲んでますけど。


そして、本もなにもないし、腹の管と痛みが結構な「重さ」なのでじーっと部屋にいる。されどビバ個室!なのか。ネット環境は復活しましたしね。

しかし、どの部屋にもどの場所にもファニーなのはいるね。個室なのにそれを破るイキオイで叫んでるわ。あれが老いなのかしらねと。


6/9〜6/10

土日。

ついには、首筋の点滴は2回だけ使用しただけで普段はテープで畳んでいる。腹の管と痛みはまだそこそこ。調子に乗って起きていると痛いので、たまにプチっと切れるように寝る感じ。


日曜にはその点滴も取り去る。あとは腹の管がひとつだけ。これは異様な量出てたので様子をみましょうと。それに異存がないくらい大量だった。1リットルくらいの容器がパンパン。


土日はいい具合に放置されてる。


本当は管の液体を貯めるプラスチックの容器をカバンにいれて首にかけて個室のトイレに行くダンドリだったんだけど、ここの部署では1番お気に入りのおっぱいの大きい看護師さんにやり方を教えていただいたのでこっそりとカバンにいれてはセルフでトイレにいってます。

ああ、わかるヒトにどういうヒトかお教えしておきます。今、思いついたので。

おれのスキなおっぱいの大きい看護師は「めしばな刑事タチバナ」に出てくる女の子に似てるわ。彼女をもうちょっとやさしくやわらかく小さくした感じ。ちなみに同マンガに登場するもうひとりの大食いの女の子に似た子もいるわ。こっちのほうはナースコールをシカトしまくりだからキライだけど。


ということで土日ひきこもり満喫。


ただ。

ひとつ痛感しましたね。

おれはラッキーだったんだなと。

心筋梗塞で入院ってことになったからこそ入院ライフをヘラヘラと楽しんでいたのだなと。

この手術あとの痛みや「重さ」はやっぱり行動ややる気を著しく削ぐのですよ。

そういった意味じゃ心筋梗塞は変わった病気なのかな。


端的にそれがわかるのは、これですね。ここまでこれを書くのが遅くなったのはやっぱり痛くてしんどかったからです。


明日には管も抜けて、なんていうかもと担当医のセリフどおり、「ちゃっちゃと退院しちゃいましょう」状態にむけて一直線になりますね。ありがたいことです。


ちなみにここまできて書いてないことに気がつきましたが、手術は「惚れ惚れするくらいよくできたよ」と主治医が「ちびまる子ちゃん」の花輪くんチックにおっしゃってました。