入院34日。で、手術まであと2日か。
昨日はアタマ痛くてだるくてしんどいのでメシ食ってすぐにおれと話したがってたジジイに義理を欠く感じにカーテンをひいて寝る。ポニューもしなかったな。
これがまたよく眠れた。なんだこれ?ってくらい寝てましたね。もしかして入院して1番くらいだし、下手したら今年1番とか。
こういうとき、いろいろなことがルーズで、なおかつ放置されてるこっちの部署は向いている。
前のところはやることが決まっているし規則正しかったらオチオチと寝てられなかったんだよな。
で、朝はだいぶ楽になったかな。ありがたい話です。だれに感謝すべきなのかはよくわかりませんけど。
手術できなくなると困るから、夜に別の患者をみにきた看護師さんに「一応」いっておこうと思って、軽く状態をつげたらけっこう思ったより心配してくれた看護師さんに感謝かな。ちゃんと連絡もしてくれて今日の看護師さんと担当医はみんな気遣ってくれたし。
朝、ゴハンの前に自販機のある休憩所にいって気になっていた、紙コップのジュースのところにあるアクエリアスのホットをためしてみる。この体調にはいいんじゃないかと。
これがけっこう正解。温かいアクエリアスは思ったのとちがってけっこう酸味が効いて美味しい。甘かったけど。
いや、前からそういう傾向にはありましたけど、ここんところのソフトドリンクの受け付けない感じはすごいね。
今日は日曜日。
やることがもっともない日。病院にいる意味がとっても希薄な日。
でも、ちょっとした事件がありました。
火曜日に手術をします。
心臓の手術です。
2種の手術をいっぺんにするのです。
ひとつは心臓の血液を送る弁が壊れてるのを治すというもの。
もうひとつはつまっている心臓周りの血管を別のところからもってきた血管でつなぐバイパス手術。
このバイパス手術で使う血管が左手から取るんですよ。
だから、今までうってた左手の点滴を右手に差し替えるというイベントがありました。今日はこれだけ。
ベテランの方が現れました。
彼女は洗面台にお湯を出したのをビニールに入れてゴムでしばってもってきました。
で、なにに使うのかというとおれの右手にそれをあてはじめて、綿密に血管の場所を探りはじめます。
おお、こんなことされたのはじめてだ。
いろいろと話しかけてこられます。
子供が中学に入ってから金がかかってビックリしてる的なことを。そんなこというとおれなんかどうなんだよ?と思うけどそこはそれってことで適当に話を合わせる。
で、慎重に血管を探ってズブリと針をさします。手術用の薬品をいれるからみもあるので太いのです。痛いのです。
でもまあスルスルと。場所も申し分ないところです。すばらしい仕事。
と、惨劇はこのあと起こります。
トイレに行きたいと思ったら、同室のジジイが入ります。これがまた長い。
じゃあってんで、一般用のトイレにいってくるかと点滴を持って歩いていきます。
これまでは左手にさしてある点滴のスタンドを右手で持って行ってましたが、今度は右手に管があるのに右手でスタンドを運んでいたんですね。
するとどうなるのか?
点滴の管が長くなりますよ。地面に垂れ下がりますよ。そして、スタンドのキャスターにからみますよ。結果、点滴の針が抜けますよ。
そして大パニックですよ。
ナースステーションの前だったので「スミマセン」と声を出したのですがスタッフが少ない日曜日。
こりゃあ、部屋にもどりナースコールのほうがダンドリがいいと思って戻る。
もどったくらいで針からもおれの腕からも血がどくどくと。持ってきた腰が痛くならないシートが血だらけに。
と、うまい具合に手間ばかりかけてる同室の仙人みたいなヒゲのジジイに手間かかってる看護師さんがいたのでお願いする。
さすがにオオゴトなのでジジイの尿瓶ほったらかして、おれの管の再刺し変えに。
これがベテランさんじゃないオッパイ大きい若い看護師さん。
まあ、ベテランさんがあんな悩んだあげくだったのでどうなるやらと思ったら、案の定、時間をかけてかけてすげえ痛かった。
とりあえずあたりをつけて刺してなんとか血管に届かせようみたいな感じな。
ただ、超真剣で一生懸命やってたのでなにもいえなかったし、真剣なあまりおれの右手をほとんど自分の太股にこすりつけるような感じになってたのでそこはラッキーでした。
あとになって「大丈夫でしたか」とみにきてずいぶんと長いこと右手をさわってチェックしていってました。やっぱりそれくらいヤバイ仕事ぷりだったんだな。
と、今日あたりはよくしていただいてるおれが好きな看護師さんばかりで居心地はいいんですけど、でも、やっぱりこんなところ1秒でも早く出ないとダメだなって気持ちがいい感じで強くなりました。
夜に氷水をもらいにナースステーションにいったら最初に点滴をいれてくれたベテラン看護師がいたのでたのんだら「なんであたしが?」みたいな顔をしつつも、それを隠しながらやろうとして、それに気づいたはなれた病室で作業してたヤング看護師がスミマセン今やりますなんてあわてて走ってきたのが印象的。やっぱりベテランに雑用をたのむのはダメなんだなあ。
小説は筒井康隆氏の「恐怖」を読んでます。筒井氏のきっちりとした文章なのに生まれるテンポと笑ってしまうノリや間ってのはどうやって作るのでしょうか。永遠のあこがれですね。