闘病記

心筋梗塞になって入院してからの病院関連の記録日記。そんな闘ってません。

入院日記14

入院31日目。

2ヶ月目突入か。

来週の手術がえらい本格身を帯びてきてビビる。おれは小2の盲腸以来メスを入れたことがないんだってばよ。


まだ、ここのノリになれてないから、遊びにいっていいのかわからず妙にベッドに残ってる。

というか、看護師ごとにノリもちがうけど、部署だともっとちがってくるんだなと。

なんつか、こっちは時間が決まってない感じ。その分、ゆるい。

とはいえ、気を抜いて出歩けないというか。ま、それがねらいなのかな。


で、あと、思ったけど、前の部署とちがってグラマーが多い。

看護師は貧乳が多いのかと思ってたけど、これも部署でちがうんだな。

「点滴取り替えますね」なんてすぐそこまできておっぱいを見上げるアングルになるとどうしていいかわからなくなる。

前は関係なく見上げてたり話したりしてたんだけど。

「いいパイオツしてますね」なんていうわけにもいかないしね。名前をチェックするときも名札じゃなくてパイオツみてるって思われるのかと思って躊躇するのよ。

とにかく名前覚えるのが苦手でなあ。だから、顔をみつつ名札をみないと名前と顔が合致しない。

つい、今も、パイオツ大きい看護師さんに「同じ名字のヒト(同じ部署に)いませんか?」って下手なナンパみたいな声をかけてエラい恥をかいた。

パイオツが大きいとおろおろしてダメね。これはたしかGIGAZINEかなんかのニュースにもあったような気がするな。オッパイの大きい女性の前だと男性は判断力が鈍るって。


向かいのジジイが話しかけてくるようになった。

なんつか、落語の名人といわれるようなヒトが引退して大病を患ってすっかり往年の話芸を失ったかのような話し方でさあ。わかりにくいか。粘土を壁にぶつけたようなしゃべり方で、なおかつ、ベッドと通路をはさんでしゃべるので話してることの30%しかなにをいってるのかわからないんだよな。

おまえの済んでいるところには知り合いが多い。おれは10回カテーテルやってる。酒は止められない。先生なんかハイハイいうておとなしくしてればそれでもうこっちの手玉にとったも同然とか。


そうなんだよな。今回、おれの地元と同じところに住んでいる看護師が多くおれの店を知ってるヒトも多いんだ。ちょっとやりにくい。


今日はCTスキャンを撮り、外科の先生に手術の具体的な内容を聞くというイベントの2本立て。


CTスキャンを撮るにあたり、造影剤というのを右手から点滴で注入します。

これは気持ち悪くなり吐くヒトがいるそうですって、おれなんだよそれは。

4月30日に入院したときに造影剤のせいなのか食べ過ぎなのか手術のドタバタなのかはわからんけど、まちがいなく吐いてるからなあ。あわててかけつけておれの目の前で号泣している下のガキの前で。しかも超大量。

だから、アンケートみたいのに正直に「吐きました」と書いた。そうしたら、看護師が車いすをもって現れるよ。しかも2人がかりで。「念のために」って。


そいでもってCTスキャン。これまでいろいろ検査したけど、心エコー、心臓の超音波検査の次にかったるい検査だったなあ。

心エコーってのは胃カメラみたいのを飲むやつ。

心臓の超音波検査はゼリーを塗って、産婦人科だったら赤ちゃんが動くのがわかるやつを心臓にやるの。これ自体はそんんなでもないんだけど、集中治療室時代に同じ場所にずっと寝ている関係上腰が痛くてはちきれそうだった。しかも長かったし。

その次にしんどかった。


まず、両腕に点滴をつけた状態でずっと寝っ転がってバンザイのポーズ。これがきつい。しかも身体はびっちり固定されてる。

エアコン効き過ぎて寒い。

なおかつ造影剤な。気持ち悪くなるとか、ノドからお尻にかけて熱くなるとかよくわかったわ。

美術準備室みたいな油絵の具のにおいが身体の奥からツーンとにおってくる。こりゃあ吐くわなあ。吐かなかったし大丈夫だったけど。


そのあと手術の話。また叔父と叔母にきていただく。また時間までオヤジの悪口。どうしてもこのメンツだとそうなってしまう。


そいで話。PC使って4月30日の死にかかっていたおれの心臓の様子を写す。心臓の太い血管が途中でぶつりと切れてる感じが生々しい。

「こうなってまして、ここから下に血栓がつまっているから心筋梗塞を起こしたんですねえ」


と、ひとしきり上映会が済んでから、今度はそれで心臓の内部にも異常があることがわかりましたってね。


そいで本丸の手術の話。

決まりなんだろうけど「万が一」の話や同意書にサインなんてのがイヤーンって。こういう手術、奥さんやオヤジは何回も受けてたんだなと。とくに奥さん。もうちょっと親身になって心配するべきだったのかなあ。っても、手術には必ず立ち会ってるけどな。奥さんはおれの手術には立ち会ってないぞ。まあ、仕方ないけど。


まあ、来週火曜日。ドキドキしてくる。んまあ、そのドキドキしてるところを切り開いて治すわけなんだけどね。


って、おれはなにが心配かっていうと、手術自体より手術後のICU、集中治療室なんかの生活が心配。

今いるところをそのままにするんじゃなくてまたいったんここを引き払って、いくんだってさ。

また、腰が痛い日々がよみがえるんだな。

前の集中治療室とはちがうところなんだけど、苦しさはいっしょなんだろうなあ。


その後、叔父叔母を見送るついでに昨日できなかった売店なんかを探訪。食堂があるなあとか。そこでソフトクリーム食べるのもいいなあとか。それは手術が終わって動けるようになったときのごほうびにとっておくか。とりあえずセブンティーンアイスとかで。


いうてもここになれて3食律儀に全部食べてはごろごろして看護師のおっぱいやおしりを眺めては軽口たたいているような生活を繰り返していると、なんと、太ってきつつあるんだなこれが。

まあ、最近は3食のほかにホットドッグ食べたりしてるし、昨日、下のガキにリンゴ買ってきてもらって、毎日1個食べるのが楽しみになってきているからな。そら太るわ。


そしてまずいわってことでウロウロしたいのだけど、最初に書いたとおり看護師の検温とかのサイクルがもうひとつわからないのよねえ。

あと、前の部署で看護師に会うのがやっぱり気恥ずかしい。あーと、「クリといつまでも」の子には会いたい。もうけっこう長いこと会ってない。こっちでもよくしてもらってるけど、キミがいないからつまらないよっていいたい。なんだよ告白かよ。


読んだ本

1Q84

文庫本全6冊読み終わりました。

5巻6巻は火曜日から今日までにすごいスピードで終わりました。

なんて書評していいのかわかりませんけど、エロシーンをフックに謎から謎、混沌から混沌、観念から観念という感じで、よくわからないまま話は過ぎていき、それらを不思議と思わせない筆力で最後まで駆け抜けていきました。

どうにもこうにも牛河というキャラにシンクロしている自分がいます。だから彼の報われなさがなんというか悲しかった。

あと天吾との不倫関係にあった人妻もなんだかお気の毒だった。彼女も救われない。どっちも40代か。40代は悲しいね。

しかし、読みでがあった。すごい長編を読んだという満足感。きちんと物語に入り込んで夢中に登場人物を追いかけていた感じ。

後半は「え?これはちゃんと終わるの?」ってはらはらしてましたけど、終わってしまえばこれ以上ないキレイな終わり方。

思わず、ヤナーチェフの「シンフォニエッタ」を検索してYouTubeで聞いたもんな。

ヤナーチェフにコルトレーンキャンディーズだからなあ。


ここから逆算して村上春樹作品を読みあさろうかと思ったり。