入院29日目。
病院食は朝食が1番しんどい。なにがしんどいって白飯を食べ進めるのが。
ネックは味噌汁だね。こんなダシもロクにとってない味噌のにおいしかしないお湯に野菜を浮かべたようなモノは出さないで、そのぶん、白飯を減らす助けになるオカズを一品増やしてほしい。昼や夜はそうだし。
部屋のジジイや、うちとこのオヤジがいってたようにふりかけとか調味料を用意すればいいんだけど、それはなんだか負けのような気がするのです。
朝、担当医がきたので、雑談めかして聞いたみたんだ。入院してから勃起してないことについて。
「別に心配ないですよ」といってくれるかと思ったら、顔色変わったよ。
と、少し話してから、「ちょっと調べてからきます」なんていなくなった。よく、こうやっていなくなって、別にその後の話がないこともあったので、そのパターンかなと思ったら、わりあいとすぐに戻ってきて、今、朝に飲んでいる薬2種の副作用にそういう効果があるものがあるそうです。症例もあると。でも、もしかしたら、現在の状況の心的要因もあるかもしれないので、退院してからおいおいとと。
なんか、我ながらドーンと落ち込んでな。
「ED 心筋梗塞」なんてぐぐったら逆なんだね。
まあ、どっちも血管のことですしね。Twitterでもいわれましたし、先生にもいわれました。
おいおい、ロクに使ってもいないのにポンコツになるのかよ。あ、いや、使ってはいるのか。
もっと、おれは「セッション」がしたいんだよ。弾き語りばかりでさ。しかも、四畳半フォークな感じでなあ。ま、そんなことはだれも聞いてないですね。
相変わらず点滴をぶらさげています。
今日は部屋が移動することが決まっているし、逆にそれ以外の予定がまったくないのですよね。
かといって、この点滴が重荷になので、ぼんやりと本を読んだり、意外にベッドにいる。
こうなると、左手の点滴の針の位置がどうしても気に入らない。
と、今日の、点滴係が集中治療室のヒトだったので(おれが覚えてなくてもおれの坊主頭をみて、ことさらにリアクションするのはたいがい集中治療室のヒト)、思いきってたのんでみたら快く引き受けてくれた。そして、やっぱり巧い。非常に快適になる。もっと早くいえばよかったわ。
あそこは重い患者が多いんでいろいろな場数を自動的に踏むことになるから巧いんだろうと思うんだけど、またちがうのかしらね。そういうこというと、一般床での看護師さんが無能みたいに思われるしねえ。まあ、少なくともいえるのは昨日取り付けた美人さんは下手だったなと。看護師の技術的なモノが1番でるのが注射と点滴なんだろうなと思ったりします。あと、チンチン洗うのと(それはちがう)。
しかし、この点滴の輸液ポンプってのが重いんだよなあ。これひきずるのがけっこう運動になる。
ためしにネットで値段調べてみたら楽天で売ってるのね。45万円。よんじゅうごまんえん!プロユースは高いよなあなんでも。
ちなみに、新人看護師が使わされる水銀計の血圧計は4000円。
これ、不思議だけど、血圧計があらゆるメーカーのあらゆる形状のモノがあるんだよな。ここいらの各種医療メーカー営業の食い込み方ってのもドラマとかあるんだろうなあ。
看護師にたずねたら「そんなのしりましぇーん」っていってましたけど。
14時に引っ越し。なんの感慨もなくてばたばたと。
ああ、さんざんとイビキや生活音をまきちらしてたオヤジはここんところ情緒不安定だったけど、おれの去り際に「これまでイビキうるさくて悪かったの」みたいなことを。自覚してたんかい。
「そんなことないですよ」とはいわなかった正直なおれ。ただ、「イビキだけじゃないですよ。すべてうるさかった」とはいわなかったやさしいおれ。
部屋の移動は同じフロアの別部署。内科と外科みたいな。だから、部屋番号も9つほど移動しただけ。
まあ、担当医が変わったりもするんですけどね。
と、部屋が移って担当看護師がくるまえに、前の担当医がくるという。彼はおれのことが好きだな。おれも好きなんですけどね。同級生なら仲良かったと思う。むこうはどうか知らないけど、話してて気負う感じがない。だからこそ、朝に勃起不全のこともたずねることができたんだし。
で、
「心臓の音きいてみます?」
なんて、首にさげていた聴診器をおれに渡してくれて自分の心臓の音を聞く。
大雨の日の排水溝みたいなゴーゴーとイヤな音。ダースベーダー風ともいえるか。
そして、比較のためにって、カーテンをひいて白衣を脱いで、自分の心音を聞かせてくれました。なんだこのアーッな展開。薄い本にしてコミケに並べられるよ。
普通にドッドッといってました。
そのあまりのちがいようにガーンとなりました。
「手術するとこの音になるはずです」
そういいのこしていなくなりました。ってまた顔出すでしょうけどね。
そのあと、看護師もきます。おおベテランっぽい。どうも、集中治療室があるからみでおれのいたところはヤングが多かったみたい(おれより年上も何人もいたけど)。
いろいろと、前のところではこうしてたって話をする。ちゃんと、ここなりに再現してくれる。
で、ほどなく新担当医もあらわれる。顔は全く似てないけど、草刈正雄氏みたいなハンサムで明るいタイプの雰囲気。と、ヤングの2人。
いろいろは1日にちゃんと話そうっていって、今日は顔見せだけみたいな。
そのあと上のガキもくる。発売された「1Q84」の5巻6巻とドトールの今度こそホットドッグをもって。
ホットドッグはやっぱりマクドナルドよりドトールのほうが美味しいね。おれはミラノサンドより
ホットドッグのが好き。
この科は心臓血管呼吸器を取り扱うってことで、呼吸器の患者さんがいてその人がゲホゲホいってるのと、前の部屋のジジイがアッパー系だとしたらダウナー系の似たようなやつが1人。
近所の専門学校の実習生に「看護師として」みたいなことととうとうと説教しててもうちょっとイヤな気持ちになる。
ああ、この部屋、だれもテレビ見てない。すげえなそれも。
読んだ本
エッチいアダルティな作品を集めたコンピレーション。
街で倒れていた女性を拾ったり、引っ越したアパートの押入に裸の女性がいたり、アパートに美人が入り込んでなにもいわずにみつめたりって、なんというか、オトコの妄想することって昔から変わらないなあと思ったりしました。
石ノ森章太郎氏はあらゆるところにウエットさがありますよね。
そういうノリがなつかしかったです。
「一匹と九十九匹」2巻 うめざわしゅん(小学館)
1巻1シリーズなのかしら。
2巻からはじまる新シリーズはどエグイ話でしたね。
古谷実風味でいてそのどれより救いがない展開。
機械工の主人公。明るい美人の女の子が入社。キリスト教の信者で、食事の前に祈ったりしてたらいつしか食堂のみんなも祈るようになる。主人公はおもしろくないので、知り合いのレイパーに金をわたして「強姦してくれ」と。
それから転げる木の根っこってどんどんサイアクへと。
まだ読み込みが足りないですが、劇薬ではありますね。注意です。
「電脳なをさん Ver.2.0」唐沢なをき(電撃コミックス)
いろいろあった末にでてる、シリーズ最新巻。時事マンガもいいところなので完全に時事に沿ってる。とはいえ、iPad2が発売された頃までです。帯には追悼されてましたけど、本書内ではまだご健在でした。
毎回いろいろなパロディがあるのがキモですが、けっこう固定シリーズ化してあまりみたことないのはなくなりましたね。それがさびしくもあり。
「登校途中の出会い頭の偶然キスはありうるか」駕籠真太郎(青林工藝舎)
久しぶりに新刊買ったな。っても、4冊くらいかな、漏らしてるのは。
実験エログロマンガ家さんの最新版。
海外に発表された作品も含んでいて、エログロではありますが、どことなくオシャレな雰囲気も漂いますかね。
相変わらずどうやって発想してどうやって描いてるのかよくわからないようなマンガが多くて、なおかつ、それでいて「駕籠真太郎」のマンガってブランドイメージが確立しておりますね。
「幻色江戸ごよみ」宮部みゆき(新潮社文庫)
小説。時代小説の短編。このあいだ「英雄の書」を読んでからの宮部小説2冊目。
よくできた短編ですね。平易の文章は現代文で、いろいろな小物で時代風味をだして、会話も微妙にそうしてる。
潔癖な文章だなと思いました。すごくクリーンでしっかりしておる感じ。
人情、妖怪、の2軸がメイン。読みやすくてなおかつしっかりした話ですねえ。